Archive for 5月, 2023

【市民参加型生き物しらべ】5月の森のクモしらべのご報告

金曜日, 5月 12th, 2023

5/6 (土)にキョロロの森に生息するクモを調べる市民参加型生き物調査イベント、「森のクモしらべ」を開催しました。調査前日までの予報では当日の午後から雨となっていましたが、幸運にも天候が回復し曇天ながらもしばしば日が差す過ごしやすい天候の元で調査を行うことができました。調査ルートはキョロロからキョロロの森の中のブナ林まで。ルート沿いの草本や低木を捕虫網でスイーピングしながらクモを採集しました。調査中はクモだけでなく、ギフチョウやシオヤトンボ、ニワハンミョウといった昆虫も多数見つけることができました。

今回の調査では12科 20 属 26 種のクモを見つけることができました。
今回の調査での最大の収穫はサラグモ科の Tusukuru 属というグループに属するクモが発見できたことです。Tusukuru 属はこれまでに世界で 2 種が記載されており、今回はロシアの沿岸地域や千島列島南部で分布が確認されている Tusukuru tamburinus ツスクル・タンブリヌスというクモが発見できました。このグループは北海道では確認出来ていないので、北海道以南の地域での新記録となります。体長約 1.3 mm のほぼ真っ黒なクモで、本調査に参加してくれた子供たちとそのご家族が見つけてくれました。ちなみに Tusukuru ツスクルはアイヌ語でシャーマンを意味する言葉に由来します。不思議な響きの言葉に負けないくらい奇妙な形をしたクモです。


Tusukuru tamburinus ツスクル・タンブリヌス♂の背面 (上) と側面 (下)。

本調査で発見したクモ【12科 20 属 26 種】
ウズグモ科
 1. ウズグモ科の一種 (未成熟)
タナグモ科
 2. クサグモ (未成熟)
コモリグモ科
 3. イナダハリゲコモリグモ (♀)
 4. ハタハリゲコモリグモ (♀♂)
 5. ウヅキコモリグモ (♀)
キシダグモ科
 6. アズマキシダグモ (未成熟)
 7. ハシリグモ属の一種 (未成熟)
ヒメグモ科
 8. ヤマトコノハグモ (♂)
 9. ヤリグモ (未成熟)
 10. ハガタグモ属の一種? (♂)※標本が損傷しており同定が難しい
 11. ヒメグモ科の一種 (未成熟)
サラグモ科
 12. ヤガスリサラグモ (♀♂)
 13. Tusukuru tamburinus (♂)
アシナガグモ科
 14. メガネドヨウグモ (未成熟)
 15. アシナガグモ (未成熟)
 16. ウロコアシナガグモ? (未成熟)
コガネグモ科
 17. カラオニグモ (未成熟)
 18. ナカムラオニグモ (♂)
 19. ムツボシオニグモ (未成熟)
カニグモ科
 20. トラフカニグモ (♂, 未成熟)
 21. コハナグモ (未成熟)
ネコグモ科
 22. ウラシマグモ属の一種 (未成熟)
フクログモ科
 23. フクログモ属の一種 (未成熟)
ハエトリグモ科
 24. マミジロハエトリ (未成熟)
 25. マガネアサヒハエトリ (♂)
 26. ヤマトハエトリグモ属の一種 (未成熟)

出現種写真(一部)。番号は上記リスト番号に対応。

タニシを食べる

木曜日, 5月 11th, 2023

タニシは春が旬なんだそうです。松之山周辺では「ツブ」あるいは「ツブッチョ」と呼び、春の味覚のひとつに数えられます。

 

今回は10分ほど茹でた後、そのまま食べてみました。捕まえたのはマルタニシで、1週間ほど泥抜きしています。過去には「ぬた」にして食べた様子が記事になっています。

うまい!
しっかり泥抜きしたので、まったく泥臭くありませんでした。アワビのような食感に、薄いシジミのような味。嚙んでいると旨味が出てきます。若干塩気が足りなかったので、醬油を少し垂らして食べると絶品でした。

みなさんも機会があればご賞味ください。食べるまでに時間と手間はかかりますが、それに見合ったおいしい食材です。

 

【注意】
タニシに限らず淡水の生物は、必ず火を通してから食べましょう。様々な寄生虫の中間宿主になっており、命に関わる病気に罹患する可能性があります。また、土地の所有者・管理者の許可を得て採取・採集しましょう。山菜や動物は地域の大切な自然資源です。勝手に採ったら泥棒です。

夏休みへ向けて!ゴールデンウィークの昆虫標本づくり講座

木曜日, 5月 11th, 2023

昨年度から開催回数が増えたキョロロの「昆虫標本づくり」。今年も回数マシマシで開催する予定です。ゴールデンウィーク中は   甲虫の標本作成方法について学ぶ講座を4/30(日)と5/5(金)に開催しました。材料は人気の昆虫であるカブトムシ。4/30はカブトムシに加えてノコギリクワガタを、5/5はカブトムシの雌雄を標本にしました。

大型の甲虫であるカブトムシは、扱いやすいものの標本にするにはその外骨格の硬さと力強さ特有の難しさがあります。講座ではカブトムシの体を柔らかくする方法や昆虫針の刺し方、標本にした後の保管の仕方などを学びました。「科学的な標本」として欠かすことができないラベルの書き方も学びました。

標本づくりの第一の難関は「昆虫針を真っすぐ刺すこと」。カブトムシは体が硬いので特に難しい部分です。

大人であっても初めは難しい標本づくり。親子で一緒に頑張って作成しました。

自信がある参加者は脚を整える「展足」だけでなく、翅を広げる「展翅」も行いました。独力でカブトムシの展翅にチャレンジ中です。

昆虫標本づくりで行うのは展足、展翅、ラベル作りまで。作成した標本は参加者が自宅まで持ち帰り乾燥させて完成となります。

キョロロの昆虫標本づくりは6~8月にも開催する予定です。6月のテーマはトンボ。また、7月には植物を標本にする方法を学ぶ講座も開催しますので、ぜひこれらにもご参加ください。