「森の学校」キョロロ研究報告5巻発刊のお知らせ

昨日(2023年3月31日)付で、キョロロ学芸員・研究員による研究・事業の成果が「森の学校」キョロロ研究報告5巻にて公表されました。PDFで無料で閲覧可能です。

https://www.matsunoyama.com/kyororo/bulletin-of-research

今回は研究報告が6報。地域の昆虫相に関することや、外来植物の遺棄に関する報告です。また、研究員が子どもたちと一緒に行った市民協働調査の結果も報告されています。
表紙は「キョロロコケヒメガガンボ」です。昨年、キョロロ敷地内で採られた標本を基に新種記載されたガガンボで、キョロロの名前を冠した記念すべき種です。
「等身大の科学」「住民皆科学者」「地域全体博物館」を掲げるキョロロでは、これからも地域の自然・文化に根差した研究活動を進めています!

<研究報告>
■クロモンオオマドキノコバエの新潟県初記録(ハエ目:キノコバエ科) 加藤大智
■十日町市松之山産ガガンボ上科の追加記録II(昆虫綱:ハエ目) 加藤大智
■十日町市松之山のハナアブ科の追加記録II(昆虫綱:ハエ目) 加藤大智・小林頼叶・小林光・平賀戸貴和・平賀利江・村越心士・村越菫・村越勝彦・村越舞・大谷成輝
■キョロロ敷地内のため池に遺棄されたホテイアオイ 大平 創・富塚茂和・加藤大智・小林 誠
■十日町市松之山におけるマツヘリカメムシの追加記録 大平 創
■キョロロにはヤチアミメトビケラが産する 大平 創

昆虫のカタチを知ろう!昆虫解剖講座開催のご報告

今年度の最後となる3月31日(日)に昆虫の体をバラバラにして体の仕組みを学ぶ、「昆虫解剖講座」を開催しました。

材料はノコギリクワガタ!特徴的な大アゴやその下に隠されたブラシ状の小アゴ、脚の1本1本などを取り外して体各パーツの繋がりを知るとともに、普段はあまり目にしない後翅や腹部の構造を観察しました。

硬いノコギリクワガタの体を解剖するためには最初が肝心。頭を動かして体の節同士を繋がりを緩め、そこからハサミを入れて解体していきます。

顕微鏡とモニタを使ってリアルタイムで解剖の方法を解説中。ちょっと気持ち悪いとの声も・・・。
 

頭を取り外したら頭部の中の筋肉を除去していきます。頭の中には大アゴを動かすための太い筋肉が大量に詰まっているため一苦労。ハサミとピンセットで筋肉を外していくと、固まっていた大アゴが緩んで外れやすくなります。

大アゴを外したら、そのまま前胸、歩脚もバラバラにしながら取り違えないようにパーツを並べていきます。「バラバラだとゴキブリに見える」という参加者もいらっしゃいましたが、昆虫の体の構造には共通性があるので慧眼といえるかもしれません。

最後は解剖したパーツを「頭部」、「胸部」、「腹部」に属するパーツごとに分類して並べケント紙に貼り付けました。今回はノコギリクワガタでしたが、体が比較的硬ければどんな昆虫でも作ることができる標本です。バラバラにすると見えてくる共通性と特異性を色々な昆虫で比べても面白いかもしれません。

鳥の巣箱づくり:3月の「里山の生き物サポーターズ」

3/23(土)に今年度最終回となる「里山の生き物サポーターズ:鳥の巣箱づくり」を開催しました。
今回は、野鳥の暮らしを観察する一つの方法として「鳥の巣箱づくり」にチャレンジしました!

巣箱を利用する野鳥は野鳥全体のごく一部です。
はじめに巣箱について学芸員が解説しました。巣箱を利用する鳥、鳥の種類によって違う巣箱の形、巣箱は子育て時に一時的に使われる場所であること、巣箱をかける時に注意することの話を聞きました。
巣箱が野鳥にとってどのような場所になるのかを理解したうえで、巣箱を作ります。

今回は主にシジュウカラを想定した巣箱づくりを行いました。

材料と設計図を基に、板に線を引き、ノコギリで切断し、巣箱のパーツをそろえていきます。
今回も1.2cmほどの厚さの杉板を材料にしました。


切りそろえたパーツを釘打ちし、組み立てていきます。
組み立ていくと、あれ?はまらない…ことも。少しいびつな形になるのも手作りならではです!


風雨にあたると板が若干反ることがあるため、釘を多めに打ち付けました。


巣箱づくりを通じて、野鳥の暮らしの観察や身近な自然の理解が深まることにつながることを期待しています。
どんな野鳥が巣箱を利用したのか、ぜひ教えてくださいね!