【第2回】ゲンゴロウ相調査【市民協働調査】

先日の6月29日に第2回のゲンゴロウ相調査を開催しました。第1回は4月の開催で良い気候のなかで調査できましたが、今回は梅雨の期間で雨が心配でした。しかしながら、幸運にも好天に恵まれ、むしろ非常に暑い一日でした。熱中症にならないよう、水分補給などに気を付けながらの調査となりました。

今回はスペシャル講師として、ゲンゴロウの専門家である吉井重行先生をお招きしました。吉井先生は、この調査の参加条件のひとつでもある「ゲンゴロウ・ガムシ・ミズスマシハンドブック」(三田村・平澤・吉井 著)の著者のお一人です。そんな専門家に指導してもらえる貴重な機会でした。


▲吉井重幸先生(写真中央)

また、吉井先生には標本と生きている虫まで持ってきていただきました。希少な水生甲虫や水生半翅類の標本や、新潟県では滅多にお目にかかれない生きているタガメを見て、参加者は大興奮でした。


▲水生甲虫類の標本(ゲンゴロウやガムシ等)


▲水生半翅類の標本(タガメやタイコウチ等の水生カメムシ類)


▲ゲンゴロウの幼虫・蛹・成虫やタガメを見て触って大興奮

調査の冒頭、吉井先生から「この時期はゲンゴロウの成虫ではなく幼虫が多い時期」、「大きなゲンゴロウだけではなく小型(数mm)の種類も探しましょう」とお言葉をいただき、胴長靴と網をもってキョロロ敷地内の池に出発しました。


▲キョロロの池で調査中


▲キョロロの池で調査中

「〇〇が狙いならここを探してごらん」、「同じところを網で3回ガサガサ」、「小さい種類は白いバットのうえで確認しよう」など、吉井先生から様々な探し方を指導してもらいました。また、このように生き物を探すことは環境破壊にもつながることを意識するように!と一同薫陶を受けました。自分の興味や楽しさだけを追求してはいけないということです。生き物を愛するからこその教えですね。


▲吉井先生の指導のもと採集する参加者


▲吉井先生の指導のもと白いバットのうえで小型種を探す

後半は前回同様に標本をつくって同定しました。今回はゲンゴロウも採れたので、タトウ標本だけではなく、展足板を使った標本も作りました。小学生が作った標本を見て、ちゃんと足をひろげていて偉い!と吉井先生もおっしゃってくださいました。


▲タトウ標本を作製中


▲展足したゲンゴロウ

今回の調査の結果、合計9種のゲンゴロウが記録されました。新記録種として、クロズマメゲンゴロウとマメゲンゴロウが記録されたことにより、キョロロ周辺あるいは松之山には18種のゲンゴロウが分布することになります。最後に吉井先生から、この環境であればもっと多くのゲンゴロウが生息していると予想されるので、調査を継続してよく調べてください、と激励していただきました。豊かな水辺が広がる松之山、そして、キョロロです。今回の経験や勉強をしっかりと胸に刻んで、周辺地域のゲンゴロウを含む生物相を記録し、解明していきたいと思います。

吉井先生、本当にありがとうございました。また、参加者の皆さんもお疲れ様でした。第3回は期間を少し空けて10月19日(土)の開催です。

2024年夏季企画展「生き物デザイン学校」生き物の形の面白さに触れよう!

\なぜ、生き物はこんな形をしているの?/
「森の学校」キョロロでは、夏季企画展「生き物デザイン学校」を開催します。今回の企画展では、生き物の形のデザインを「支える」「食べる」「飛ぶ」「探す」「あざむく」「愛」の6つのトピックから紹介します。生き物の持つ形の特徴について、標本やクイズなどを通して楽しく学べる企画展です!

【会期】2024年7月13日(土)から10月14日(月・祝)まで
※7月8日(月)から12日(金)は展示入れ替え休館

【休館日】火曜日 ※8月13日(火)は開館

【その他】
①十日町市指定文化財「トロゴンテリゾウ」臼歯化石の展示
十日町市博物館と連携し、企画展内の「食べる」コーナーにて十日町市指定文化財「トロゴンテリゾウ」臼歯化石を展示します。
②カブトムシルーム
館内設置のテント内にて間近でカブトムシを観察できます(期間:主に8月中)。
③大地の芸術祭作品「超高解像度人間大昆虫写真 life-size」の展示
大地の芸術祭アーティスト橋本典久氏+scope制作の「超高解像度人間大昆虫写真 life-size」を館周辺の野外に18個展示します(期間:大地の芸術祭開催期間中)。



▲ニワハンミョウのアゴ

「トロゴンテリゾウ」臼歯化石

▲ウリハダカエデの種子(翼果)


▲カブトムシルーム

▲「超高解像度人間大昆虫写真 life-size」(野外タイプ)

【活動報告】増やさない!オオハンゴンソウ「里山の生き物サポーターズ(6月)」

6月の「里山の生き物サポーターズ」はオオハンゴンソウの調査・駆除・実験をテーマに実施しました(6/22)。
オオハンゴンソウは北アメリカ原産のキク科の多年草で、繁殖力が強く、野生化し日本各地に定着しています。
現在では外来生物法により環境省が「特定外来生物※」に指定している植物で、各地で駆除活動も実施されています。松之山でも各所で見られ増加傾向にあり、キョロロ周辺でも小規模な群落が確認されています。

▲開花したオオハンゴンソウ。例年7月くらいから開花が見られ始めます。

今回の活動では、調査区を設置して①抜き取り、②刈り取り、③無処理の区画を設けて作業を実施しました。
異なる管理方法を比べて、今後の活動の時期や内容の参考にするためです。
暑い中でしたが、参加者の皆さんからご協力いただき、1時間ほどで作業を終えることができました。


※無処理区含め、この場所のオオハンゴンソウは開花前にさらに駆除活動を実施予定です。

オオハンゴンソウは種子とともに地下茎で繁殖する多年草であり、根が残っていると再生するので<抜き取り区>では根こそぎ引き抜きます。
根を残さないようスコップなども使いながら抜き取りを行いました。長い地下茎や多くのひげ根がついていました。

確実に防除するため、ごみ袋にまとめて回収し全て焼却処分といたしました。
増えすぎてからでは根絶が非常に困難です。これ以上オオハンゴンソウが増えないよう、引き続き抜き取り作業や抜き取り後のモニタリング、分布調査などを行っていきたいと思います。

※特定外来生物:外来生物のうち、地域の生態系に大きな影響を与えたり、人の生命・身体、農林水産業へ被害を与えたりするものを、外来生物法に基づき国(環境省)が「特定外来生物」として指定した生物。特定外来生物は、飼育や栽培、保管、運搬、輸入などが原則禁止されており、違反すると罰則もあります。