スノーシューでブナの巨木に会いに行く

3月2日(土)に初開催のイベント「ブナの巨木に会いに行く」を開催しました。
里山にあるブナ林は薪炭林利用の中で成立した二次林がほとんどですが、中には原生林にあるような大きく成長したブナを見ることができます。
積雪期にしか近寄れない場所にあるため、スノーシューを履いて雪いっぱいの森に足を踏み入れました。

前夜の降雪により40cmほど新雪が積もりました。
当日も降雪があったり、青空が広がったりと、刻々と変わる景色の表情を楽しみながら進みます。

花芽が大きくなってきたオオバクロモジの冬芽、ハートのカタチをしたヤマウルシの葉痕(下画像)など、冬ならではの自然観察も楽しみました。

▼ユスリカの観察。

▼ふかふかの新雪に寝転ぶと青空が!

キョロロの森の散策路を途中まで歩いてきましたが、ここからは道がありません。緩やかな斜面を登っていきます。
無雪期は低木が生い茂り登ることは容易ではありませんが、積雪期ならではの特別なルートです。

到着です!
息をきらせ登った尾根近くに、大きなブナが1本立っていました。
周囲長さは300cm以上で、大人3人が手をつなぐとちょうど周りを囲うことができるくらいの太さです。
周辺にはブナの二次林やスギの植林、林道も近い場所にありますが、生える場所は傾斜がきついため、おそらく伐り残されたのではないかと考えられます。


美人林のような細く密度の高いブナの林とは対照的に、枝ぶりも豪快!大迫力です!
数百年にわたり、里山の移り変わりを見てきたことでしょう。
里山の多様なブナの姿を見ることができました。

新雪が降り積もった直後のスノーシュー日和の観察会となりました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
※写真の一部は参加者の方からご提供いただきました。

満月が現れた!満月のブナ林スノーシュー2024

2月24日(土)に「満月のブナ林スノーシュー」を開催しました。
雲に隠れたり顔を出したりの満月、夜の森の表情も刻々と変化します。
イベント後半には雲が薄くなり、雲の中に隠れていた明るい満月が顔をのぞかせてくれました!

満月が現れると、冬の森は一気に明るくなります。
バーコードのような月影がはっきりと雪面に伸び、満月の夜ならではの明るいブナ林を楽しみました。

月の明かりに照らされたブナの木々には、地衣類がぼんやりと浮かび上がります。
明るい夜空にオリオン座を見上げることもできました。

雪面に伸びるブナの月影、満月の夜ならではの幻想的な明るいブナ林を、スノーシューを履いて夜のブナ林での特別なひと時を過ごすことができました。

※写真は参加者からご提供いただきました。
※今回のイベントは美人林の夜間利用について地主さんから許可をいただき、地形や散策に適したエリアを熟知したスタッフ数名が同行し、参加者の安全管理を行いながら開催いたしました。冬季、池は雪で覆われ、特に夜間は地形の視認性が非常に低下します。夜間の散策には危険が伴いますので、一般の皆様のご利用はお控えください。

2024年3月ハナアブしらべの活動報告


3月3日の10:00-12:00にハナアブしらべが実施されました。今年度12月からは、分類学やハナアブの同定方法についての勉強会として、月1回開催していました。今回はハナアブ科についてや、日本のハナアブ科研究史について前半にお話ししました。後半はほぼ完成しつつある「松之山のハナアブ図鑑ver.3」の検索表を使って、渡した標本を種まで同定することに挑戦していただきました。検索表とは、グループや種を簡単に特定するための表で、示された特徴を持つ番号に進んでいくと、調べている種の名前が分かるというものです。検索表に書かれている内容を文字で理解するのは難しいですが、その理解を促すための図に加えて、かみ砕いて説明する事で、調べてもらった3種を正しく納得して同定していただいたようです。顕微鏡と検索表を使って標本を種まで同定するという作業は、昆虫など、同定するために微細構造を見る必要がある生物全般に使える基本的な技術です。これまでの活動を通して、顕微鏡を見てより正確に種を同定する方法のイメージをつかんでいただけたのなら幸いです。

今年度の12月から3月には以下のような活動をしていました。

12/3:[座学] 動物の名前について・分類学の大切さについて
   [実習] ハナアブ科 → 亜科への検索
1/14:[座学] 「種」とは何か?
   [実習] ハナアブ科の亜科 → 属への検索
2/4: [座学] 「種」とは何か?(前回同様)
   [実習] ハナアブ科の属 → 種への検索
3/4: [座学] ハナアブ科について
   [実習] ハナアブ科 → 種への検索

皆さんにとって一般に興味がわかないであろうハナアブに関するイベントで、さらには難しい内容だったと思いますが、それでも楽しく一生懸命取り組んでいただきました。ご参加いただいたお子さんたちは、一般的な虫好きの子よりもさらに昆虫への理解を深めていただけたのではないでしょうか。2020年から始まったハナアブしらべはこれで最終回となりました。特に繰り返しご参加いただいた皆様には深く御礼を申し上げます。