2023年夏季企画展「昆虫総選挙」の結果報告

 砂漠地帯のように暑かった夏は嘘だったかのように寒くなり、10月9日をもって夏の企画展「キミもめざせ!ムシはかせー 虫博」は閉幕となりました。まだアカトンボやチョウなどが飛び、コオロギたちは鳴いていますが、全体的に昆虫はめっきり少なくなりました。いわゆる昆虫シーズンは終わりを迎えているように思います。

 さて、今回の夏の企画展でも来館者にアンケート(昆虫総選挙)を実施していました。昆虫の「目(もく)」というグループ単位に焦点を当てて紹介する企画展でしたので、みなさんのお気に入りの目(1~3位)と、展示を見て印象の変わった目について伺っていました。今回は合計で355名の方にご回答いただき、内容は以下の通りとなりました。

 お気に入りの目第1位に輝いたのはやはりコウチュウ目でした!カブトムシ、クワガタ、ゲンゴロウなど大人気のグループが含まれるのでこの人気は揺るぎません。これを選んだ理由として「かっこいい」「硬い」「強そう」「カブト・クワガタが好きだから」というものが圧倒的に多かったです。そして第2位に選ばれたのはチョウ目で、「かわいい」「綺麗」「美しい」という理由がほとんどでした。第3位トンボ目で、「かっこいい」「きれい」「素早く飛べる」「オニヤンマが好き」などの理由で選ばれていました。トンボ目はお気に入りの目第2・3位ではどちらも一番票が多く、どの層の人にも好印象を持たれる傾向があるように見えます。続いて4位カマキリ目で、「(前脚がカマになっていて)かっこいい」「つよい」「飼ったことがある」という理由が目立ちました。その次は大きく差がついて、第5位カメムシ目がランクインしました。カメムシというと臭くて嫌なイメージが強いかと思いましたが、「セミが好き」「タガメが好き」というコメントが多く、これらがカメムシ目のグループであることがしっかりと理解されていました。また、「くさいから」「においが最高」という意外なコメントも見られました。またお気に入り第一位で、5位までには入らなかったものの、お気に入り第2・3位で5位以内に入っているバッタ目もなかなかの人気があるようです。

 次に展示を見て印象が変わった目に移ります。こちらで第1位に輝いたのはなんとゴキブリ目でした。その理由には「意外と種類が多い」「意外と気持ち悪くなかった」「かわいく・かっこよく見えてきた」「カマキリに近いグループ」というものが多かったです。家で突然現れると怖いでしょうが、博物館などで展示され、逃げないとわかっているゴキブリであれば、冷静にその姿を見ることができたのかもしれません。第2位カメムシ目で、「セミ・タガメがカメムシ目だとは知らなかった」「刺す口がある」「すべての種がくさいわけではない」というコメントが目立ちました。第3位は、お気に入りの目で第2位であったチョウ目で、「チョウとガが同じ仲間」「ヨナグニサンが想像以上にでかい」というコメントが多く見られました。次の第4位のハエ目は「種類が意外に多い」という理由で、第5位のカマキリ目は「意外に種類が少ない」「ゴキブリ目と近い仲間」という理由で選ばれていました。

 これらの全ての票を合わせた総合順位では、お気に入り第1位の1~4位と違いはなく、第5位でカメムシ目がバッタ目に変わっただけでした。やはり、コウチュウ、チョウ、トンボ、カマキリ、バッタという昆虫の大看板たちの人気は不変の事実でした。皆さんの予想はいかがだったでしょうか。

 そして最後に誰からも票をもらえなかったシロアリモドキ目を応援したいと思います。前脚から糸を出すことができるという面白い特徴を持つ虫で、生体展示もありましたが、意外な結果となってしまいました。新潟県にはいないと考えられ(静岡県以南に分布)、生息場所も樹皮のすき間や落ち葉層であるため、身近でない・見つけづらいという点と、何より目の名前に唯一「モドキ」というインパクトの薄い言葉が入っているという点も影響しているのかもしれません。シロアリに似ているという事からつけられた和名ですが、実際はナナフシ目に近いと考えられているグループです。最下位を逆手に取って知名度が上がれば幸いです。

 大変暑い夏の中、たくさんの方々にお越しいただきありがとうございました。次回もまた皆様に楽しんでいただける企画展を作成できるよう尽力いたします。今後ともよろしくお願いいたします。

 

【彩豊かな実りの季節の花々】10月の花ごよみしらべ

10月14日(土)に10月の「花ごよみしらべ」を開催しました。
里山は秋の花々や実を観察できる季節へ。今回は48種の開花した植物を観察することができました。

▼クサギの実。果実が熟すと萼が平開し、花弁のように見えます。

▼ノブドウの実。色彩が豊かです。

▼ユウガギク。秋は複数の野菊を観察できます。

▼リンドウ。晴れて気温も高かったため、開いた花をたくさん観察できました。

▼外来タンポポ(もしくは在来タンポポとの雑種)は秋にも開花します。

▼ノタウタケ。秋はキノコの観察も楽しい季節ですね。


▼チカラシバ。ブラシのような穂が特徴です。

▼ノコンギク。松之山ではユウガギクとそろってこの時期に咲く野菊の代表種です。

▼ツリフネソウとキツリフネが同所的に咲いていました。熟した果実をつまむと、種子がはじけます。


▼セイタカアワダチソウ(外来種)。葉の香りを参加者と楽しみました。

▼アオバトの羽が散乱していました。何が起こったのでしょうか⁉

▼花が終わり種子になっているオトコエシにオオカマキリが登っていました。

秋ならではの花々や実りを楽しむことができました。
次回は最終回11月11日(土)の開催です。

秋冬企画展開幕!美人林のものがたりを探ろう。

10月14日(土)から開館20周年秋冬季企画展「美人林ものがたり-里山の美しきブナの森の秘密-」が開幕しました。
本企画展は平成29年秋冬季企画展がベースとなっているアンコール展です。

美人林の四季折々の美しさの背景を、雪国のブナの生態や里山の暮らしとの関係からひも解きます。
【会期】2023年10月14日(土)から2024年3月10日(日)

企画展の入り口付近には、今年6月に伐採されたブナの切り株がお出迎えします。
年輪を数えてみたり、若い頃と最近の成長の違いを比べてみてください。

展示はパネルを中心に、写真や映像、ブナの森の生物の生体展示や標本で構成されています。
様々な美人林のものがたりに触れていただき、

▼ヤマナメクジの生体展示

▼美人林の間伐材を使用したプルトーイ。ミュージアムショップでもお求めいただけます。

秋の紅葉、冬のスノーシュー利用と合わせてご覧ください。
皆様のご来館をお待ちしています。