【今年は豊作⁉】生き物にぎわう田んぼの稲刈り2023

10/1(日)にキョロロの田んぼの稲刈りを行いました。メダカが泳ぎ、オタマジャクシやカエル、水生昆虫やイナゴ、ヘビなどいろいろな生き物を育む田んぼで大きく実ったイネ。
田んぼの水を抜かないお米作り、生き物が避難できる通水路「江」づくりなど、キョロロではたくさんの生き物を観察することができる田んぼづくりを続けています。
今年も「田んぼはイネだけが育つ場所ではない」ということを、1年間体験イベントや学校の体験学習を通じて観察し学ぶことができました。
酷暑であった今年は、イネが枯れたり質が低下したりとのお話を良くお聞きしますが、中干しをしないキョロロの田んぼでは昨年よりも収量が多くなりました。

稲刈りは、里山の農業に触れることができるキョロロの定番イベントです。
今年も皆さんのご協力のもと、田植え、田の草とりを経て、稲刈りを無事迎えることができました。
稲刈りにも多くの皆さんからご参加いただき、今回も地域の方々を師匠に里山の稲刈りを学び体験しました。
子どもたちも泥だらけになりながら頑張ってくれました!




水を抜かないキョロロの田んぼはぬかるんでいます。
足元を見るとメダカやコオイムシが泳ぎ、タニシやカエルの姿も。

稲刈り後の田んぼに、さっそくトンボが産卵する姿も見られました。田んぼが様々な命を育む場所であることを改めて実感します。
地域方々からは、手を切らないイネの刈り方、藁を使った結わい方、稲束をくるっと回転させた結わい方など、里山のお米づくりに関するいろいろな知恵や技を教えていただきながら、稲刈りは進みます。
田んぼ仕事の知恵や技がキラリと光ります。




刈った稲は、キョロロの駐車場に設営した「はさ」に掛けて乾燥します。今年もキョロロの正面にはさ場を作りました。
結わいた稲の渡し方、掛け方など、はさ掛けにもいろいろなコツがあることを教えていただきました。




今年のお米の出来はどうでしょうか?楽しみです。
田植え、田の草とり、稲刈りにご参加いただいた皆様には新米をお届けいたします!
どうぞお楽しみに!

【市民参加型生き物調査】カニムシしらべ【第3回報告】

昨日「カニムシしらべ」を実施しました。第3回、涼しくなってきた秋編です。前回は若虫(幼虫のこと)が多く、探すのがとても難しいシーズンでしたが、今回は果たしてどうだったのでしょうか。


▲カニムシ採集の様子

なんと今回は、サイズが大きいカニムシが採れました!体長は 5 mm くらい。これでもカニムシのなかでは大型種です。


▲カギカニムシのなかま

採集成果は4種でした。この4種のなかで、オオウデカニムシは、土壌中ではなく樹皮下に生息する種です。今回は一時雨が降ったので、その際に樹皮下のカニムシも探し、見つけたものです。

・オウギツチカニムシ属の一種(若虫)
・チビコケカニムシ属の一種(未記載種)
・カギカニムシ属の一種
・オオウデカニムシ

次回は11月23日を予定しています。雪が降る直前ですね。そんなシーズンには、冬限定のカニムシが採れるハズです。比較的にサイズが大きい種なので、狙って採集したいと思います。

【友の会主催】池の生き物大調査(秋)【こしじ水と緑の会助成】

昨日、キョロロ友の会主催のイベント「池の生き物大調査」を実施しました。今年5月に実施した池の生き物大調査の秋バージョンです。条件付特定外来生物であるアメリカザリガニが侵入してしまった池で、どんな生き物が生息しているのかを調べます。場所は5月と同じくキョロロの森のため池です。今回は春よりも水草の種類が増えていたので、特に植物に力を入れて実施しました。

午前中は池の中で水生生物を採集しました。少し涼しくなってきたとはいえ、胴長靴を履いて動くと汗ばみます。講師の先生に教わりながら水草を採ったり、網で水生昆虫や魚を探しました。



▲調査の様子

午後は標本作成です。植物はさく葉標本にします。「形を整えて新聞紙にはさむ」と聞くと簡単に思えますが、実に様々なテクニックがあります。水草のエキスパートに教わりながら標本の作り方を学べるというのは、とても贅沢な時間です。先生方に教わりながら、みんなで100年残る標本を目指してつくりました。



▲植物標本を作成している様子

動物は液浸標本にします。魚とカエルは種を記録してから元の池に戻しましたが、昆虫や貝類などの無脊椎動物は70%エタノールで固定し、バイアル瓶に保存しました。バイアル瓶には70%エタノールを充填し、ラベルも一緒に保存します。ラベルには「いつどこで採られたか」が書かれており、標本とセットで保存されることが重要です。



▲液浸標本を作成している様子

今回の調査では、ミズオオバコやサンショウモ、キタノメダカやゲンゴロウなど、絶滅危惧の動植物が多数記録されました。生物多様性が豊かなため池であることが分かります。それだけに、条件付特定外来生物であるアメリカザリガニが侵入し、これらの生き物たちの生育・生息が脅かされているというのは、非常に悲しい現実と言わざるを得ません。


▲ミズオオバコとサンショウモ

そのときの生物多様性を記録することは、とても大切な行為です。もしかすると、今回確認された生き物のなかには、来年にはいなくなってしまうものがいるかもしれません。もともと何がいて、いつ何がいなくなったのか。それを知るために、調べて、記録して、標本を残すことが、地域の生物多様性を保全する最初の一歩になるでしょう。


▲今年5月につくったさく葉標本