こども探鳥会の報告と定例探鳥会の案内

7月のこども野鳥の会探鳥会のご報告

【調査日】令和5年7月8日(土)午前8時から9時30分 天気:曇り 気温:22℃
【参加者人数】 大人10人、小学生6人

当日に心配された雨は止み、探鳥会の開催中は雨に降られずに無事終了できました。
探鳥会では安吾の森のブナの梢にエナガのファミリーが羽繕いをしている様子を観察することができました。
また
ホオジロのさえずりや今年巣立った幼鳥が加わったツバメのファミリーが賑やかに鳴きながら舞う様子、杉の梢にとまるサシバなどを観察できました。
帰り道に、支柱の先端に止まり、尾羽をくるり、くるりと回すモズを見ることができ皆さん感動していました。

野鳥のいろいろなしぐさを見ることができた探鳥会でした。

今回のこども野鳥の会探鳥会で確認した野鳥は25種でした。
【確認種】
キジバト、ホトトギス、コチドリ、トビ、サシバ、コゲラ、サンショウクイ、モズ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヤマガラ、ツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、エナガ、メジロ、ムクドリ、クロツグミ、キビタキ、スズメ、セグロセキレイ、カワラヒワ、イカル、ホオジロ

今回は生きた野鳥だけでなく、野鳥の標本や会員が持ってきたヒバカリというヘビの幼陀(まだ小さい個体)も観察できました。
雨を予想してメジロ、サシバ、トラツグミ、アカショウビンなどの野鳥の死骸(冷凍保管していたもの)や最近見つかったオオコノハズクの骨格を「森の学校」キョロロから持参していただき、滅多に間近で見ることができない野鳥を観察する機会を得ることができました。

ファミリーで観られたエナガの幼鳥 加藤撮影

エナガの幼鳥 村山撮影

ホオジロ 村山撮影

キビタキ 加藤撮影

メジロ 加藤撮影

サシバ 加藤撮影


トビ 加藤撮影

探鳥会の様子 村山撮影

オオコノハズクの白骨死骸 

 

7月の定例探鳥会のご案内

松之山野鳥愛護会と「森の学校」キョロロの市民協働調査でもある7月の定例探鳥会をご案内します。

【日 時】令和5年7月22日(土)午前4時30分〜7時30分
【集合地】「森の学校」キョロロ駐車場
【日 程】午前4時30分 探鳥会開始
               探鳥会に続いて、鳥合わせ・情報交換
     7時30分 終了予定

【申し込み】「森の学校」キョロロ

最近の野鳥写真から

サシバ 樋口撮影

サシバ 樋口撮影

カッコウ 樋口撮影

ハクセキレイ 村山撮影

2023年7月のハナアブしらべの結果報告

今年7月のハナアブしらべは5月と同様に大松山(標高約670m)で実施されました。山の頂上周辺では、飛んで生活する昆虫が集まる習性があります。前回の大松山での調査では蚊の大群に襲われましたが、今回は幸いにもほとんど蚊を見る事はありませんでした。天気は晴れでしたが、7月ともなると気温も高く、蒸し暑い中での調査となりました。

今回採集されたハナアブは以下の5種でした。

〇ミナミヒメヒラタアブ 15オス4メス

〇オオヒメヒラタアブ 1メス

〇キアシマメヒラタアブ 2メス1オス

〇オオハナアブ 1オス

〇ヨコジマオオヒラタアブ 1オス

7月のように気温が高くなってくると、キョロロ周辺でのハナアブ科の種数は少なくなる傾向がありました。やや標高の高い大松山でも同様の傾向がみられる可能性が高そうです。過去の異なる場所で実施された同月の調査と比較すると、2021年7月の松之山の東山トンネル付近(標高約300m)での調査では5種、2022年7月の天水山(標高約900m)での調査では8種が確認されていました。天候や採集の仕方によっても種数は上下しますが、今の時期は標高の高いところの方がハナアブの種数が多いようです。

今回最も多く採集されたミナミヒメヒラタアブは、腹部の模様の変異が見やすい種の一つです。黒い縞模様が完全なものから、その縞の大部分が薄れているものまで様々な段階の個体が見られます。ハナアブの腹部の模様の個体変異については、松之山でもよく見られるホソヒラタアブの研究例があります。ホソヒラタアブは蛹の時期の気温によって腹部の模様が変わり、気温が低いほど黒い模様が大きくなるというものです(Dušek &Láska, 1974)。また実際に晩秋~冬と早春に見られるホソヒラアブでは、黒い模様の大きい個体が多いとされていて(祝,1997)、松之山でもこの現象を確認しています。ミナミヒメヒラタアブも成虫発生期間が長いので、しっかり調べてみるとこのような模様と季節の関連性が見られるかもしれません。

今回はハナアブが少なめの時期でしたが、時折現れるミヤマカラスアゲハやオニヤンマなどの大型昆虫たちも我々を楽しませてくれました。暑い中でしたが、9名の方々にご参加いただきました。ご協力いただき誠にありがとうございました。次回も同じく暑い8月ですので、標高高めのところを狙おうか考え中です。次回のご参加もお待ちしております。

 

引用文献

Dušek J & Láska P (1974) Influence of temperature during pupal development on the colour of syrphid adults (Syrphidae, Diptera). Folia Facultatis Scientiarum Naturalium Universitatis Purkynianae Brunensis. Biologia. 15: 77-81.

祝 輝男(1997)季節によって模様替え!鹿児島市2地点におけるホソヒラタアブの色彩変異について.はなあぶ 3: 9-13.

【7/9(日)まで】舘野鴻絵本原画展-うまれて しんで、めぐる命のものがたり-

好評開催中の春季企画展「舘野鴻絵本原画展-うまれて しんで、めぐる命のものがたり-」は7/9(日)までとラスト3日となりました。
まだという方も、もう一度!という方も、この機会にぜひお越しください。

<企画展特別企画>舘野鴻氏トークショー&観察会
第1回ゲスト(5/7):筑波大学 出川洋介准教授
https://www.matsunoyama.com/kyororo/blog/?p=10554
第2回ゲスト(6/3):昆虫はかせネットワーク 鈴木誠治代表
https://www.matsunoyama.com/kyororo/blog/?p=10752
第3回ゲスト(7/1):福島大学 兼子伸吾准教授
http://www.matsunoyama.com/kyororo/blog/?p=10949