【いきものいっぱいの田んぼ】田の草とり&田んぼの生き物調査隊

キョロロのお米作りイベントの一つ「田の草とり」を開催しました。今から2週間前に田植えを行いましたが、田んぼには草が芽生えはじめ繁茂しつつあります。
写真の稲と稲の間にヒエなどの植物が生えてきているのがわかるでしょうか。稲を元気に大きく育てるために、これら田んぼの草をとることも必要です。
お米づくりで一番大変な作業といわれている「田の草とり」。とても大変な作業ですが、おいしいお米のためです。


作業を始める前に、館長から次のような説明がありました。
・現代の米づくりは農薬を使うが、キョロロでは農薬を使わずに手作業で田の草をとっていること。
・昔の米づくりでは、田の草とりをシーズンに3回ほど行っていたこと。

・また、田んぼのなかを歩いて攪拌すると、泥の中に入り込んでいるガスが抜けて、稲の生育に良い状態になること。

雑草を泥の中に押し込むだけでも効果があることや、手押しの除草機の使い方もレクチャーしてもらい、田の草とりがスタートしました。
素手で田の草をとるだけでなく、除草機にもチャレンジ。除草機を稲と稲の間に転がしていきますが、ちょっとコツがいります。なかなか館長のお手本ようにはうまくいきません。それでもみなさんには、一生懸命に田の草をとっていただきました!


田の草とりの後は、田んぼの生き物を調べました。今度は網とかごをもって、田んぼの中にどんな生き物がいるのかを調べます。
田んぼのなかを歩きながら、目をこらして探します。みんなが歩くと泥で水が濁りますが、そのなかで動いているものを見つけて網ですくい上げます。
果たしてどんな生き物がいたのでしょうか。
「オタマジャクシがいる!」「ヤゴがいた!」いろんな声が飛び交います。


集めた生き物は、白いバットに集めて観察します。それぞれの種類について研究員から解説があり、見つけた生き物をリストアップして生き物たちの関係も考えます。
田んぼに暮らしている生き物たちも、食べたり食べられたりして過ごしています。田んぼという私たちがつくり出した環境にもたくさんの生き物がいて、それらが繋がって里山の自然ができていることを学ぶことができました。


暑い中、多くのみなさんに田の草とりを頑張っていただきました。草もたくさん生えますが、そのほかにも様々な生き物がすんでいる田んぼです。きっとおいしいお米になるでしょう。
次回の米づくりイベントは、秋に予定されている稲刈りです。みんなで育てた稲を刈って、はすがけを行います。みなさんのご参加、お待ちしております!

キョロロの午後のおすすめスポット

晴れた日、午後になるとキョロロ裏側の耐候性鋼板の壁面が木々の影のキャンパスになります。
建築と自然がコラボする、刻々と変化する数時間だけの一期一会の光景です。
キョロロの裏側にも、せひ足を延ばしてみてください♪

【市民参加型生き物しらべ】6月の森のクモしらべのご報告

   6月4日(土)にキョロロの森にすむクモを毎月調べる市民参加型生きものしらべ、「森のクモしらべ」を開催しました。これまでに松之山では見つけたことがなかった、腹部に斑紋があるヒナハグモやアシブトヒメグモ、ツリガネヒメグモが採集できた他、5月に採集したツスクル・タンブリヌス Tusukuru tambrinus の雌成体を思しきクモも採集できました。参加人数は4人と少なかったのですが、その分「濃い」調査を行うことができました


一見すると赤いダニのように見えるヒナハグモ。腹部に斑紋が無い個体はこれまでも見つかっていましたが、頭胸部が赤く腹部に斑紋がある個体はキョロロ周辺では初めて見つかりました。


ツリガネヒメグモのオス成体。土や木くずで作った釣鐘状の住居に潜んで獲物が網にかかるのを待つクモ。キョロロ周辺では今回が初の記録となります。


その名の通り、前脚の一部が太くなっているアシブトヒメグモのオス成体。近縁種であるイワワキアシブトヒメグモは昨年度の6月の調査で見つかっています。
(2022年度6月の森のクモしらべ結果: https://www.matsunoyama.com/kyororo/blog/?p=8268)


先月の「森のくもしらべ」で見つかったツスクル・タンブリヌスのメス成体と思われるクモ。メスはオスよりも特徴がはっきりしないので現在より詳細に検証中です。
今回の調査で、163種のクモが十日町市内で記録できました。まだまだ新しいクモが見つかると思われますので、是非7月の森のクモしらべにもご参加ください。

森のクモしらべ
【今後の開催日】7/1 (土)、8/5 (土)、9/2 (土)、10/7 (土)、11/4 (土)
【集合時間】13:30
【集合場所】キョロロ
【参加料】無料

本調査で発見したクモ【10 科 22 属 31 種】
ハグモ科
 1. ヒナハグモ (♀)
タナグモ科   
 2. クサグモ (未成熟)
 3. ヤチグモ亜科の一種 (未成熟)
キシダグモ科
 4. ハシリグモ属の一種 (未成熟)
ヒメグモ科
 5. ツリガネヒメグモ (♂)
 6. アシブトヒメグモ (♂)
 7. カニミジングモ (♂, 未成熟)
 8. ヒメグモ科の一種 (未成熟)
 9. ヒメグモ科?の一種 (♂)※現在再検討中。
サラグモ科
 10. Tusukuru tamburinus (♀)
 11. ハシグロナンキングモ (♀)
 12. ヨツボシサラグモ (♀)
 13. コウシサラグモ属の一種 (未成熟)
アシナガグモ科
 14. コシロカネグモ (♀,♂)
 15. ウロコアシナガグモ (♂)
 16. エゾアシナガグモ (♀)
 17. アシナガグモ科の一種 (♀,未成熟)
コガネグモ科
 18. ヤマシロオニグモ (未成熟)
 19. ヌサオニグモ (♂)
 20. カラオニグモ (♀)
 21. クマダギンナガゴミグモ (♂)
 22. ヨツデゴミグモ (♀)
 23. コガネグモ科の一種 (未成熟)
カニグモ科
 24. トラフカニグモ属の一種 (未成熟)
 25. コハナグモ (♂)
 26. チクニエビスグモ (♂)
フクログモ科
 27. フクログモ属の一種 (未成熟)
ハエトリグモ科
 28. マミジロハエトリ (♀, ♂)
 29. テナガハエトリグモ属の一種 (未成熟)
 30. マガネアサヒハエトリ (♀, ♂)
 31. メガネアサヒハエトリ (♂)


出現種写真(一部)。番号は上記リスト番号に対応。