2022年 10月 17日at 6:59 PM kyororo
今年10月のハナアブしらべは6人の参加者と一緒に大厳寺高原で行われました。開始してからしばらくは快晴で、特にキャンプ場周辺の花に多くのハナアブやその他の昆虫が集まっていたので、その場でしばらく採集をすることに。それから普段の採集ポイントである標高900m付近の場所の様子を見に行きましたが、そこでは花の時期がほぼ終わっておりハナアブがほとんど見られませんでした。それからすぐに元の場所に戻って調査をしましたが、天気が曇り始めて肌寒くなり、見られるハナアブの数が激減してしまいました。
大部分は晴れていたものの気温の低さを感じさせる回でしたが、成果はなかなかのものでした。38個体11種のハナアブ(①-⑪)が採集され、そのうちの1種、ヘリヒラタアブは今回初確認の種で、十日町市未記録の種でした。また、ハナアブに雰囲気が似ているその他のハエ目(A-D)も多数見られました。今回採集されたハナアブは以下の通りです。
①ホソヒラタアブ 9♂7♀
②オオヒメヒラタアブ 1♂2♀
③ケヒラタアブ 7♀
④オオフタホシヒラタアブ 1♀
⑤シマハナアブ 1♀
⑥タカネムツモンホソヒラタアブ 1♂2♀
⑦ホソヒメヒラタアブ 1♂
⑧ヘリヒラタアブ 1♂(十日町市未記録)
⑨オオハナアブ 1♀
⑩キスネクロハナアブ 3♂1♀
⑪スルスミシマハナアブ 1♀
今回多く観察できたのはホソヒラタアブとケヒラタアブでした。KR君が採集した十日町市未記録のヘリヒラタアブはやや大型で腹部の丸みと平さが強く、よく似たマルヒラタアブとは顔に黒い筋があることで見分けることができます。MSi君が採集したオオフタホシヒラタアブはぱっと見はケヒラタアブにそっくりですが、腹部の基部にある1対の黄色い模様の形が円形で、メスの脚は基部の方まで黄色です。ケヒラタアブが多く飛んでいる中、稀にこの種が紛れていたようです。過去にもキョロロの森で仕掛けたマレーズトラップで1個体が採れたのみでした。
その他のハエ目でよく飛んでいたのが、MSuさんが採集してくれたCのシナヒラタヤドリバエ(シナヒラタハナバエ)とDのツマグロキンバエでした。Cは幼虫がカメムシ類に寄生します。そして前回新潟県未記録と分かったAのジョウザンメバエを今回もKR君が1個体採集してくれました。これらの3種はすべて花に来るハエ目ですが、Bのアイノヒゲボソムシヒキは秋の涼しい時期のみ見られるハエ目で、日の当たる木の幹などでエサとなる小さな昆虫が飛んでくるのを待っています。
そして、ハナアブしらべによく参加してくれるHT君が、このイベント以外でキョロロ周辺で10月に採集してくれた小さなハナアブが、なんと県内未記録のジョウザンマメヒラタアブという種であることがわかりました。ハナアブしらべでもよく採れるキアシマメヒラタアブとそっくりですが、やや大きくて細く、腹部の中央当たりに小さな明るい1対の点があります。念のためこれまで採集したキアシマメヒラタアブの中に紛れていないか、約100個体の標本をチェックしましたが、やはり1匹もいませんでした。松之山では非常に珍しい種である可能性があります。
今回は天気に恵まれ、10月中旬の標高高めの涼しい場所での調査でしたが、(時にはアケビ採集に夢中になりながら)素晴らしい成果となりました。次回のハナアブしらべは今年最後となり、11月19日(土)の13:30-16:00で、キョロロ周辺で行う予定です。晴れていればハナアブが活動するギリギリの時期で、曇りではほとんど採集できないと考えられます。そのため次回は採集は短く終わらせ、その後は館内でこれまでの成果のまとめをパワポで発表したいと思います。今回もご参加いただいた皆様、ありがとうございました。またのご参加をお待ちしております。
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2022年 10月 17日at 10:12 AM kyororo
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2022年 10月 13日at 5:54 PM kyororo
10月1日(土)にキョロロの森のクモを調べる市民協働調査「森のクモしらべ」を実施しました。毎月第一土曜日に開催している本調査ですが、7月から9月までの調査のご報告をしていなかったので、本記事では10月での調査の報告と合わせて報告させていただきます。
森のクモしらべはキョロロの森のブナ林やその林縁部、林床に生息するクモを参加者とと一緒になって集め、どんなクモがキョロロの森にいるのかを調べる調査イベントです。昨年度までは十日町市内の水田や公園で調査を行ってきました。
草木の枝や葉にいるクモはビーティング法という採集方法で集めました。枝などを棒で叩くと、その上にいるクモは驚いて下へと落ちてきます。ビーティング法はこうして落ちてきたクモを傘やネットで受け止めて採集する採集方法です。
クモは昆虫と異なり飛んで逃げることは無いので、受け止めたクモは吸虫管やフィルムケース、チャック付きのビニール袋などに入れて集めます。
草木の上だけでなく地表にも徘徊性のクモを見つけることができます。こうしたクモは見つけ次第吸虫管で捕まえるか、「ふるい」を使って捕まえるシフティング法で採集しました。採集したクモはキョロロに戻って参加者と一緒に観察してその種を同定しました。
8、9月の調査では参加者はいなかったのですが、7月の調査では2名、10月の調査では3家族6名のご参加があり、4回の調査で56種のクモが確認できました(7月:22種、8月:12種、9月:30種、10月:14種)。
今回の調査では新たにタナグモ科のクモであるフタバヤチグモとムサシヤチグモ、コクサグモ、コモリグモ科のチビコモリグモ、ワシグモ科のヨツボシワシグモ、ネコグモ科のコムラウラシマグモの6種を十日町市で新たに確認することができました。これにより十日町市内で155種のクモが確認できたことになります。
森のクモしらべは来月11月5日(土)が今年度最後の調査となります。晩秋になるとあまり成体のクモは現れないのですが、ヤチグモの仲間や一部のサラグモは秋から冬にも成体が現れます。まだ市内で見つかっていない種を狙ってみたいと思いますので、興味がありましたら是非ご参加ください。
【7~10月の森のクモしらべ確認種リスト】
※カッコ内は採集できた月
- マシラグモ科の一種(9月)
- ユウレイグモ属の一種(7月)
- ハネグモ属の一種(9月)
- マネキグモ(9月)
- ヒナハグモ(8/10月)
- クサグモ(7月)
- コクサグモ(10月)
- ムサシヤチグモ(9月)
- トガリヤマヤチグモ(10月)
- フタバヤチグモ(9月)
- キタハリゲコモリグモ(7月)
- キタコモリグモ属の一種(7月)
- チビコモリグモ(9月)
- アズマキシダグモ(9/10月)
- ハシリグモ属の一種(10月)
- エビグモ属の一種(10月)
- オオヒメグモ(7月)
- スネグロオチバヒメグモ(9月)
- オナガグモ(9月)
- カニミジングモ(9月)
- ニホンヒメグモ(7/8/9月)
- ムナボシヒメグモ(7月)
- コアカクロミジングモ(9月)
- ヤギヌマミジングモ属の一種(8月)
- カンサイアリマネグモ(9月)
- キララシロカネグモ(7月)
- コシロカネグモ(7月)
- アシナガグモ(7月)
- ヤサガタアシナガグモ(9月)
- アシナガグモ属の一種(9月)
- ジョロウグモ(8/9/10月)
- カラフトオニグモ(7月)
- カラオニグモ(9月)
- ヌサオニグモ(7月)
- キザハシオニグモ(7月)
- クマダギンナガゴミグモ(7/8月)
- ヨツデゴミグモ(9/10月)
- トゲグモ(7月)
- シボグモ属の一種(9月)
- ワカバグモ(7/8/9/10月)
- トラフカニグモ(7月)
- ハナグモ(8/10月)
- コハナグモ(7/9/10月)
- チクニエビスグモ(7月)
- ヨツボシワシグモ(9月)
- コムラウラシマグモ(9月)
- ウラシマグモ属の一種(8月)
- コマチグモ属の一種(9月)
- フクログモ属の一種(8/9月)
- アオオビハエトリ(7/8/9月)
- ネコハエトリ(10月)
- デーニッツハエトリ(9/10月)
- マミジロハエトリ(9月)
- タイリクアリグモ(7月)
- ヤマトハエトリグモ属の一種(8/9/10月)
- カラスハエトリグモ属の一種(7/9月)
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